材を吟味し正確に「お仕事ファイル」

更新日:2015/02/06

週刊タイムス住宅新聞 第1491号にて掲載。

建具製作技能士として、お仕事ファイルに取材しました。

與儀清孝(60歳) 株式会社新洋 製造部 部長代理

《資格》
一級建築大工技能士
一級家具技能士
一級建具技能士

「木の玄関ドアや障子などを造るのが仕事。図面があっても現場での実測こだわる」


~建具製作技能士になるには~
国家資格である技能検定制度に合格すること。学科と実技試験がある。
実技は「木製建具手加工作業」と「木製建具機械加工作業」に分かれている。

昨年の全国の合格率は1級は44.5%、2級は46%(手加工)。
沖縄は1級、2級ともにゼロ。與儀さんは
「木が好きでこの仕事を始めて、資格を取りました。

信頼の証しになるので、若い方々も勉強しながら資格を取ってほしい」と話した。

収縮・膨張まで考慮

建具とは、建物の開口部に取り付ける戸や障子、ふすまなどを指す。

アルミ製もあるが、建具製作技能士は主に木製を手掛ける。
一級建具製作技能士になって25年の與儀さんは、
「私たちは木材のプロ。木の特性を見極め、施主の要望に合わせた建具を造る」と語る。

玄関ドアは水に強いチーク材を、障子やふすまは軽いヒバやスギを使う。

さらに「何十年も使うものだから、適した木材でも、しっかり乾燥していて
変形の少ないものか見極めているよ」と厳しく目を光らせる。

こうして吟味した素材で造り始める。
「一番大切なのは正確な寸法で造ること。当たり前のことだけど、
特に建具は開閉するものだから、ミリ単位でも誤差があると動きが悪くなってしまう」。

依頼先からの図面に寸法が書かれていても、現場で実測してから造るという。
現在、取り組んでいるのは、八重瀬町に建設中の医療施設の建具造り。

窓枠からサッシまですべて
無垢材(一本の原木から切り出して製材した木材)で造ってほしいとの依頼だ。

無垢材は、湿度によって収縮や膨張することもあるため、
窓とサッシとの間にあえて数ミリの隙間を作り、ぶつかりあわないようにしている。
「難しい依頼だけど、腕の見せどころ」と話す。

デザインの提案も

建具は、建物に合わせなければならないことから、
寸法や素材、色まで制限されることが多い。

「大きさや形ではあまり遊べないけれど、
デザインは施主の要望に合わせ、提案していますよ」とニッコリ。

「カラフルな玄関ドアを」との要望には木の間に琉球ガラスを入れて造った。
「施主も喜んでくれてね。私も造っていて、とても楽しかった」と笑う。
一から建具を造るだけでなく、修理や障子紙の張り替えもしている。

いわば「建具の何でも屋」だ。

與儀さんがデザインした木製玄関ドア。
琉球ガラス越しのカラフルな光が玄関を彩る

「でも、私たちだけでは建具は完成しないんだよ」と意外な言葉。

建具を設計する建築士がいて、設置する大工がいる。

「建具からも分かるように、家造りはチームプレー。
住む人が心地よく使えるよう、それぞれの分野のプロが力を合わせて造っている」と
しみじみ語る。

何気なく使っている建具。心地よく開閉できるのは、職人のこだわりのおかげだ。